今回からグラファイト調理器具の開発当初からクラウドファンディング終了までの間に得た知見を元にグラファイト調理器具での調理について書きたいと思います。

グラファイト調理の他との違いはなんと言っても、「素早く、ほどよく食材が焼ける」ということで、更に「焦げ付きにくさ」についてもグラファイトの持つ特性によるところが大であると考えています。先ず第1回(全4回)は「焦げ付き」について考察します。
<焦げ付き>について
<焦げ付き>の根本原因は、食品からでるコラーゲンがゲル状(糊のように)になって調理器具の表面に引っ付いてから固まることによるものです。肉の場合このゲル化は65~75℃で起り、90℃以上では水分を放出して固く焼き締っていきます。このゲル化状態を素早く通り抜けることが「くっつかない」秘訣ともいえるのですが、其れ以外の方法も当然あります。
- 調理器具の表面に引っ付かない処理をする。(ゲルを弾く処理をする)
よくある撥水加工と似たような理屈でテフロン加工やダイアモンド加工がありますが、表面は時間と共に劣化していきますので初めの数ヶ月保てばいいほうで、対策としては不十分です。また、テフロンにはフロン問題も疑われています。
グラファイトグリルプレートにはシリコンコーティングをしております。 - 調理器具と食品の間に油で膜(層)をつくる。(ゲルが直接触れない様にする)
昔からの知恵でこれが決定打ですが、油がしっかり調理器具の表面にまわっていなければなりません。 - ゲル状(糊状)のものが引っ付く前に素早く固めてしまう。
ここでコラーゲンの特性を知っていれば、一気に100℃位まで素早く食材の表面を加熱して「糊」が機能する前に焼き固めれば良いということになります。冷凍や冷蔵庫から出したての食材をいきなり焼くと焦げ付いたり、引っ付いたりしますが、これはコラーゲンの固化温度(100℃程度)まで到達するのに時間がかかりすぎ「糊」が働き易くなるからで、「ステーキ等は焼く前に室温程度に戻す」とよく言われるのは理に適ったこととなります。そういうことですので、食品の表面を固めるために調理器具をしっかり予熱(200℃以上)し食材も室温程度に戻しておくことで素早く表面を固めましょう。
つまり、コーティングは補助的なものであり、根本的には如何に素早く表面を焼き固めるかということになります。どのような素材の調理器具であれコーティング処理が劣化してしまう以上、コーティングは保険みたいなものであり、根本的には如何に素早く食材の表面を焼き固めるかが最大のポイントになります。
①食材を室温程度にして、②調理器具をしっかり予熱(200℃以上)して、③油をしっかり調理器具の表面になじませましょう。
続く