そもそも遠赤外線とは以下の図にある波長を指しており、赤外線(0.78μm~1mm波長)の内の8μm~1mmまでの波長のものをいいます。物質には受けたエネルギーに対して吸収(=放射)・透過・反射の3通りのことが起ります。この内、吸収されたものが再度放射されるのが、ここでいうグラファイトが炎のエネルギ-を受けて遠赤外線を放出するということになります。

いよいよ遠赤外線効果についてですが、先ずは熱伝導率と遠赤外線(ここでは8~14μm)放射率のグラファイトと金属素材との比較が下の表です。
酸化アルミ | 酸化鋳鉄 | ステンレス | 酸化チタン | グラファイト | |
熱伝導率 | 237 | 80.3 | 16 | 21.9 | 128 |
放射率 | 35% | 60-90% | 10-80% | 60% | 80% |
放射率とは受けたエネルギーを100%として吸収して再放射する率です。アルミや鉄では多くが反射されてしまっていますがグラファイトは放射率が安定していますので炎のエネルギーを「無駄なく」、又、この遠赤外線放射は光のエネルギーと同様に光速で伝わりますので、「素早く」食材に伝えていきます。

食品によって多少違いますが、生焼けになりやすいハンバーグ(厚さ3cm程度)の中心部の温度比較です。ここで注目頂きたいのは先のコラーゲンのゲル化温度(65~75℃)に到達するスピードの違いです。これが短時間でできることで表面を焦がしすぎることなく、内部に肉汁を抱いた柔らかい肉が焼けるメカニズムになります。
続く